歯科治療には痛みがあるが・・
無痛症の悲劇
痛みは私たちに有害な刺激を避けるように教えてくれる。侵害刺激によって起こる引っ込め反射。熱いものに触ったら、熱っ!!
尖ってるものに思わず触れたら、痛っ!!
って経験は誰にでもある。歯科治療は削ったり、注射針を刺したりと考えただけでも痛い。
しかし、痛みは体の損傷した部位を休ませるように私たちに教えてくれる。痛みは生きて行く上で必要不可欠なのである。
この事実を最もはっきりと教えてくれるのが、痛みの感覚を持たずに生まれてきたごく稀な人々の例である。彼らは痛みを感じないために、自分の行動が危険であると認識できないため、生涯を通して自分自身を破壊するような危険に晒されているのである。そのために彼らの多くは若くして死ぬのである。
その昔、痛み刺激に対する感覚のみ失われており、その他は何ら障害を持たない知的なカナダ人女性がいた。しかし、痛みを感じないため、特別な動きや体の過大な負担が分からず、骨の変形を引き起こし、感染症を引き起こし、28歳の若さで亡くなったとのことである。
痛みを伴う歯科治療は嫌なものであるが、痛みを感じることは生きて上で大変大切なことである。
参考文献:神経科学 脳の探求 西村書店
新美歯科医院 院長 新美敬太